小西良弘 ・ K-Laboratory

 

 

若き技術者へのメッセージ 小西良弘

 

■NHK時代の経験より
NHK京都放送局に勤務した年に、上司の技術課長よりスタジオの雑音の改善について工夫せよと云われ、これをまとめて報告した。これが現在における研究活動に大いに役立っている。小さな事でも工夫せよ。これが発想の原点である。
研究所時代には、毎朝1時間のフリーディスカッションを行なった。テーマは誰ともなく提起し、これがプレインストーミングと各自の問題意識、未知への好奇心、探究心の向上に非常に役立った。これが技術を好きになる動機にもつながる。好きこそものの上手なれ。
実際問題から基本問題を探求する習慣がつき、それを逆に他へ展開する喜びを感じた。帰納と演繹の繰り返しにより1つの問題をいくつかの方面から見る欲望を感じた。
生駒の送信所で経験したことが動機となり集中定数サーキュレーターを発明し、全国の送信機に用いられた。
米国での客員研究員としての1年間で、研究と共に人脈をつくる事ができ、自分の財産となった。
CTSを使って米国のNASAと共同受信実験のプロジェクトリーダーとなり、衛星放送実現に於る大きな役割を果たした。この時より数年以前に立体平面回路を発明したのがみのった。

■ユニデン時代の経験より
研究開発したものが実用化され巨大な売上を計上することができる喜びは製造メーカーの技術者の達成感でもある。
技術は個人、企業そして国の財産であり、これを経営に結び付けるにはTwo Hatsの心構えが必要である。
技術者であり、経営者である。人こそ企業なり。一企業は自分にかかっている。
副社長を勤めた間、常に企画と計画とが重要なことであった。これは時折朝令暮改であっても止むを得ない。常に暫定的な計画をもつことが大事である。目的意識があって始めて活力が湧く。

■東京工芸大学の教員時代の経験より
これから世の中を担ってゆく若い技術者に如何に教えて育ててゆくかを勉強させて頂き、如何に学生と一体感を持ってゆくかを学んだ。そしてこれは大変重要で難しいということも学んだ。NHK時代の毎日のプレインストーミングを、電磁気学の最後の15分間に実施した。
企業人としての出発直前の教育なので非常に責任を感じた。米国の大学では2年生頃から目的意識をもち、卒研の方向をきめており、支払った授業料を自分の知識と実力をつけるのに取り返そうとしている。今後、日本の学生もそうであって欲しい。
4人の社会人の方々が工学博士を取得されるに当たってお手伝いでき、その方々がトップ経営者に、また技術指導者の立場でご活躍されていることが本当に嬉しく存じている。